おはようございます。
今日はある本についてお話したいと思います。
その本は、お豆腐の本です。
その本は、お豆腐屋さんに勇気を与えてくれる素敵な本です。
その本は、、、
さて、20年前に時間を巻き戻してみます。
僕が知っているそのお豆腐好きの女の子は、群馬県生まれで小さな頃からお豆腐が大好きで、毎日お豆腐を食べて育ちました。お弁当のご飯の代わりにお豆腐を入れていくほどのお豆腐好き。
女の子にとってお豆腐はとても身近な存在であり、みんながカレーライスが好きなように、オムライスが好きなように、女の子はお豆腐が大好きでした。
子供らしくない!?そんな風にからかわれたりしたかもしれませんが、でも女の子はへっちゃらです。近所のお豆腐屋さんにおつかいにいくのも楽しみのひとつです。お豆腐屋さんのラッパの音を聴くとサンタのベルみたいにワクワクして、大きくなったらお豆腐屋さんになりたいなー、なんて夢を膨らませたのかもしれません。
10年後、お豆腐好きの女の子は、お豆腐を食べて大きくなりました。お豆腐は身体の一部、毎日毎日お豆腐を食べて元気に育ちました。女の子は日本中のお豆腐を食べたいなぁ、そんな風な想像をするのが楽しくて仕方ありません。
ある日、日本中のお豆腐屋さんを巡っている夢を見ました。あるお豆腐屋さんにお豆腐を買いに行ったところ、、、昨日まで灯っていたはずのお豆腐屋さんの灯りが消えていました。次の日にはお豆腐屋さんの看板が無くなっていました。女の子はとても悲しい気持ちになりました。
毎日少しずつ町から消えていくお豆腐屋さん。女の子は夢の中でお豆腐屋さんがどんどん減っているという現実を知りました。
お豆腐屋さんの役に立てることはないのかな?少しだけ立ち止まって考えてみました。
そうだ、女の子は何かひらめいた様子。さっそく女の子はお豆腐の調べ物をはじめました。もちろん毎日お豆腐を食べることは欠かしません。朝昼晩と3度のお豆腐では飽き足らず、勉強の合間にお豆腐、3時のオヤツにお豆腐、益々お豆腐好きに拍車がかかっていきました。
お豆腐ってなんだろう?お豆腐のはじまりは?お豆腐の作り方は?見る知ることが楽しくて仕方がありません。女の子は書物を見たり食べたりするだけでは我慢できなくなり、いつか自分がお豆腐を作ってみたいという思いが強くなっていきました。
そして女の子は日本中にあるお豆腐を食べたいという夢をあきらめてはいませんでした。山の方、海の方、雪の方、丘の方、いろいろなお豆腐を食べてみたいのです。そして同時に日本中のお豆腐屋さんに会いに行きたいと想像を巡らせるようになりました。女の子は旅をはじめます。お豆腐の旅、それは『往来』のはじまりです。
そして2020年。
女の子の名前は"豆ちゃん"こと工藤詩織さん。この本の著者です。
僕と豆ちゃんは出会って2年足らずですが、密度の濃い木綿豆腐のような時間を過ごさせてもらった仲間です。 一緒に旅をしてお豆腐の思い出をたくさん作ることができました。まだ小さかった女の子の夢は、20年後、お豆腐の本という形になって全国のお豆腐屋さんを往来しています。 一丁が一冊の作品となって読者の皆さんの食卓に届いています。
旅はまだ始まったばかり。これから豆ちゃんがどんな町や場所を往来するのか楽しみにしながら、今日もお豆腐を味わいたいと思います。
豆ちゃん、おめでとう。
心から嬉しく思っています。
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『まいにち豆腐レシピ』 工藤詩織(著者)・牛尾理恵(レシピ)
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工藤詩織ホームページ
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往来写真館〜お豆腐屋さんと豆ちゃんの素敵な関係〜
山口やすゆき