箪笥のひきだし

株式会社TAN-SU代表。コンテンツプロデューサー。畑楽人。地域や産地のPR戦略やメディア企画、情報開発、コンテンツ制作、商品開発など多数プロデュース。オンラインショップ『おちゃのま商店』の運営。高知県日高村オムライス大使。野菜づくりはルーティーンワーク。

#95 商標登録のおはなし

2021年3月16日(火)
今日は週頭ってことで、外部の会社さんからの問い合わせや相談や依頼があって、各案件を整理する時間にあてました。同時にキャラクターの育成にも本腰を入れはじめてます。

 

TAN-SUの事業は大きく分けて2つ。制作と発信。
映像制作や音楽制作、デザイン制作などのクリエイティブ事業、それと地域や企業のプロモーション事業の2つです。それぞれの役割や機能を連携しながらいろんな企画を進めています。

と同時に第3の事業が自社コンテンツの開発です。
自社コンテンツとは自分たちのオリジナル商品や作品のことで、外部からの依頼を受けず、自分たちのブランド商品を販売することです。TAN-SUはキャラクターや食品開発を中心に開発を進めています。この部分は先行投資になるわけですが、うちの場合は「応援」をテーマにキャラクターや地域ブランドの開発に取り組んでいます。

 

遡ること7年前になりますが、自分が考えた企画を初めて商標登録しました。「恋めし」という地域食材を楽しむプロジェクトのタイトル名を登録し認可されました。地域の食文化に触れてもらうことを目的にした取り組みでしたが、この時に権利保持の大切さを実感しました。なぜならその後「恋めし」というネーミングのイベントが全国いろんな地域で展開されることになるので。


言葉というのは限られたワードの中で組み合わせていくわけですが、複数の人が似たような商品名やブランド名を同時に扱うこともあります。長く使い続けてきた商品タイトルや屋号が意外と商標登録されていないこともたくさんあって、後発の企業に商標を取られてしまい使用できないなんていうトラブルもニュースで目にします。

そういったトラブルの防止のため、著作物や創造物の二次的な悪用を防ぐためにも商標登録は重要です。ポジティブな話をすると確固たるライセンス保有者になることはライセンス侵害を気にせず商品やブランドの育成に取り組む時間を確保できることが一番大きな利点です。

 

僕は商標登録はライセンス育成の時間への投資と思って、積極的に申請をしています。ただし闇雲に登録すると資金がショートすることもありますから本当に育成したいものを厳選することをお勧めします。

 

特に僕らのような企画会社は、いろんなアイデアを外部企業に提供するわけですが、提案した企画がそのまま商標登録されてしまったり、譲渡契約になってしまうなんて言うことが多いです。せっかく考えた企画も譲渡ではなく、コラボレーションという連携ができれば小さな会社でもビジネスチャンスにもなります。双方の機能を行かせる協業になります。

 

個人的には特化した機能や技術を持っている小規模事業者や個人店でも成長するポイントに「特許」や「商標登録」いわゆるライセンス開発があると思います。パスポートと同じように5年、10年一区切りで登録料を支払ってライセンスを取得できますので、一つの選択肢かもしれません。

 

ライセンスには名称や屋号などもあれば、手法や技法といったもの含まれます。「○○式」なんて言う独自の製法などもその一つです。僕たちの会社は「応援」をテーマに食育キャラクター「ベジパンズ」を生み出し、食に関わる商品を製造しているメーカーさんとコラボさせていただきながら、いろいろなコミュニケーションを開発しています。

 

TAN-SUとして商標登録が完了しているのが、

・「菌ツマ」きのこのオツマミ 

・「ベジパンズ 〜パンツをはいた野菜たち〜」(キャラクター)

・「みつまいも」 焼き芋加工品 

・「恋めし」 ※旧TAN-SU  所有権は古舘プロジェクト

 

まだ言えませんが申請予定、申請中のものもいくつかあります。

例えば、「菌ツマ」は現在きのこに限定していますが、今後いろいろな菌のおつまみを開発するなどした場合でも、費用はかかりますが対象となる商品を拡大、追加していくこともできますので、ライセンス取得というのはいろんな可能性を含んでいます。

 

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また、僕たちの最大の強みはメディアPR事業を行なっていることです。
情報発信チーム(100名のテレビ番組ディレクター班)と連携した事業を行なっているので、本来はもっと自社の商品をPRできるはずなんですが(苦笑)人員不足で自社商材の育成がずっと滞っていました。

そこで思い切ってPR事業を整理することに。側から見れば簡単な改善に見えるかもしれませんが、結構難しい・・・。シンプルな整理ではありますが「事業目的の共有」と「役割分担」です。

 

「TAN-SUが一番力入れるのは○○だよ」

「僕はこっちやるので、あなたはこっちやって」

 

これはサンリオの辻会長も言ってましたが、小さな会社の社長は、会社が成長するまではとにかく1から10まで全部やらざるを得ない。経理から制作、営業まで。ここから一歩前に進むには決断なんだよと。

 

要するに一番決断を鈍らせるのはお金なんです。PRの人員を増やせばコストがかかる。特に近年のようなコロナ禍ではコストを抑えたい欲求もあるし先々の不安も多いです。でもピンチはチャンスで、幸いコロナ禍で内製に力を注げる時間ができたのでこのタイミングでキャラクターライセンスを強化する準備をしようと決めました。

そして社長にありがちなのが売上不足を社員のせいにすること。社員の職業選択の自由を尊重するべきであり、社長は社員の雇用を維持し成長を応援することが大事なんだと腹を括らないといけないですね。将来のビジョンを見据えず目の前の売上ばかりに気を取られているとビジネスの機会を失います。

 

話はそれましたが、商標登録したものをどうやって売っていくか、成長させていくかは更なる努力が必要ですが、誰かに類似企画をやられても意義を訴えることもできるし、権利保有の時間は確保できるわけですので落ち着いて育てればいいわけです。

このように実は商標を取ってからもやることはたくさんあるんですが、これからライセンス事業を考えている方は商標登録をして権利の安全確保をオススメしたい。

 

 

山口やすゆき