箪笥のひきだし

株式会社TAN-SU代表。コンテンツプロデューサー。畑楽人。地域や産地のPR戦略やメディア企画、情報開発、コンテンツ制作、商品開発など多数プロデュース。オンラインショップ『おちゃのま商店』の運営。高知県日高村オムライス大使。野菜づくりはルーティーンワーク。

開発、育成、リブランディング、僕が取り組むブランドづくりは、規模より希望。

2021年1月3日(日)正月休みも最後の早朝。
今年はどんな年になるんでしょうね。

自分の現在位置を確認するってことを昨日も書いた。
これ、ずっと思っていて、なんなら20年近くずっと確認作業だけは怠らずにしていると思う。車の点検を毎日するようなもんですね。時に確認作業に没頭するあまり確認自体が目的になっちゃって、安全に走ることや快適に運転することが疎かになってしまうこともある。それは人の常ですね。


今日は、ブランドづくりについて考えてみよう。

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僕の考えは、結論としては作っちゃえばいいです。今SNS時代においては誰でもブランドは立ち上げられますので、立ち上げにノロノロすることはリスクでしかない。なぜならばブランドは育てるものなので立ち上げてからが勝負だし、モタモタしてたらスタートラインにも立てていないし、もっと言うとそもそもエントリーシートを出し忘れていることと同じ。

あとどんなブランドでも人だなぁって思う。人間力がブランドを作る。
ファッション業界もコンテンツ業界も、デザイナーやブランドマスターの理念や考えが見えないブランドは実は業績が下がっている。大量生産で単なる製造サイクルに入ってしまうと価値は下がるし、社会に寄与していないブランドは面白くない。消費者にとって魅力を提供し続けるって難しいのです。

 

2008年、地域事業をスタート。低予算で地域を応援するスタイルに、同業他社から結構叩かれた。という話なんですが・・・

僕は前職でお世話になった古舘プロジェクトで、2008年に地域を応援するプロジェクトを立ち上げて、2012年に地域活性プロジェクトTAN-SUというブランドネーム作り本格的に事業化しました。事業化してメディアと連動した様々な地域プロモーションやブランディングのサポート企画を考えてきました。

細かく分解すると大小1000以上のメディア企画をプロデュースしてきました。その多くがスタートアップかリブランディングという中長期的な開発と育成事業です。WEBサイトの小さな企画もあれば、音楽ライブや各種イベント、テレビやラジオ番組、本や雑誌の企画、とにかく情報コミュニケーションい関わる企画をいろいろです。世界遺産の日光山輪王寺さんで行っていた落語会だけで50回シリーズあるので。

取引先は全国各地の地方自治体が7割、その他メーカーさん、放送局などがあります。地方自治体の入札案件に関しては当然都道府県民で暮らす方々の税金から広報予算を捻出しているわけなので、当然税金から僕たちが仕事をいただいていることを忘れてはいけない。

TAN-SUが当時チームとして掲げたルールは、地方の仕事を受託した時は、自分たちで事前取材することでした。地方の暮らしや風土、時間の流れ、県民性を少しでも感じた上でお付き合いしたいと思ったからです。僕たちの一方的な提案や企画では自己満足でしかならないので、少しでも県民の皆さんに還元できる仕事をする為です。自分たちのお金で交通費や取材費を捻出していくことが重要だと思ったので、予算の額に関わらず自腹取材していました。これはちょっと変わったチームだなと思われていたかもしれません。

こうした地方を中心としたプロモーションやブランディングや事業を通じて、TAN-SUという名前は少しずつ業界内で認知いただけるようになりましたが、大きな予算の事業もありましたが、その傍らで予算が少なくても工夫してくれるチームだよってw噂も立ちましたが。その後ろ盾にあった古舘プロジェクトという看板があるからできたことがほとんどでした。



トマト農家さんのおばあちゃんの「ありがとう」がショックだった。

地域活性事業に取り組むようになったのは、トマト農家のおばあちゃんの一言が大きかった。2010年ころ!?かな、あるテレビ番組の取材で高知県に行ったときに取材させてもらったトマト農家のおばあちゃん。収穫シーズンにも関わらず一生懸命対応してくれて撮影も無事に終わりました。お礼の連絡をした時に、放送をとっても楽しみにしていると嬉しそうに話してくれたんです。

テレビ番組は放送時間が決まっているので、それに合わせて編集という作業があるのですが、諸事情あってトマト農家のおばあちゃんの撮影シーンはカットになってしまいました。当然ごその時も事前に連絡するわけですが、おばあちゃんはとっても残念そうな声で、「ありがとう」と言って電話を切りました。

この時に、テレビでカットされても何かしら記録に残るものを作ろうと思い、TAN-SU内でWEBサイトを作ったんです。最悪でもWEBサイトにだけでも記事が残せる状態にしようと考えたわけです。その後SNSとか普及して今はあらゆるメディアがるので逆に情報が埋もれちゃいますが。

 

消費者や生産者にとって情報を発信したり、新しい開発をするっていうことがいかに重要かを学びましたし、僕たちは1000回できても、その土地で暮らすおばんちゃんにとては生涯で1回のチャンスだったかもしれないと思うようになりました。僕はこのおばあちゃんとの苦い経験を踏まえて、メディアの大きさではなくて、喜びの大きさを大切にする仕事がしたいと強く思いました。

 

規模を育てるのではなく、希望を育てる。

TAN-SUとして独立してから考えていることは、事業の規模を大きくするのではなく、希望が持てるコンテンツを育てることです。大手企業さんやメーカーさんは大きな販路や流通を確保していて、そこにまともに勝負するのは難しい。むしろ協業するのが一番幸せな形です。そのためには僕たち自身が価値を持たなければお付き合いできないし、企業価値も作れません。

規模に対抗する別の規模を育てるというビッグスケールの野望を持って起業する経営者の方もおられると思いますが、僕は規模よりも希望を優先しています。結果どんなスケールであろうが良いものを作れば、いつか出会ってしまうだろうし、会社の規模で物事を判断する時代ではなく、コンテンツ価値と個々の能力や可能性で勝負する時代だと思っています。

僕自身の仕事においても、過去を振り返れば、スタートアップ事業かリブブランディング事業がほとんどだったので、要するに新しいことをするけど予算が限られているか、うまくいかなくて困っている人のサポートです。そうした中で、自分たちのブランド力を上げることの重要性を学んでいくわけです。

なので、2021年は希望を育てることをテーマに頑張ろうと思った矢先に考えたのが、おじさんのライフスタイルを応援する「OJISAN  design」です。僕がおじさん張本人なので、自分自身がブランドモデルです。さて、早々にスタートラインには立ちましたが、、、どうなることか。


山口やすゆき